親知らずと
下歯槽管との関係
親知らずと下歯槽管との関係、
およびリスク管理

下歯槽管とは?
下歯槽管とは、下顎骨の中を通る重要な神経や血管が含まれる管状の構造のことで、下顎神経(下歯槽神経)がここを通ります。この神経は、下顎の歯、歯ぐき、下唇、あご周辺の感覚を司っています。
親知らず(第三大臼歯)は、下顎の奥に生えるため、下歯槽管との位置関係が非常に重要になります。
親知らずと下歯槽管の関係
近接している場合
親知らずの根の部分が下歯槽管に近接している、または一部重なっていることがあります。この場合、抜歯の際に下歯槽神経が刺激されたり、損傷するリスクが高まります。
埋伏歯(骨の中に埋まった親知らず)
の場合
親知らずが骨の中に埋まっている場合、下歯槽管との位置関係を把握することが特に重要です。位置関係が近い場合、抜歯時に注意を要します。
神経の圧迫や影響について
親知らずの萌出や位置によって、下歯槽神経が圧迫されることで、痛みやしびれを引き起こすことがあります。
抜歯時のリスク
下歯槽管に近接した親知らずを抜歯する際、以下のようなリスクがあります。
下唇や顎のしびれ
下歯槽神経が損傷されると、一時的または永続的に下唇や顎の一部にしびれや感覚異常が生じることがあります。
出血
下歯槽管内の血管が傷つくと、通常よりも多く出血する可能性があります。
診断と治療計画の重要性
親知らずと下歯槽管の位置関係を確認するために、CTスキャンやレントゲンを用いた診断が欠かせません。CTスキャンでは三次元的に詳細な位置を把握でき、下歯槽神経との距離や親知らずの根の形状を正確に評価できます。
神経との距離が近い場合
位置関係に応じて、通常の抜歯より慎重な手術が必要になります。一部のケースでは、口腔外科の専門医や大学病院での治療が推奨されることがあります。
部分抜歯(コロノトミー)
下歯槽神経に近接している場合、親知らずの一部だけを取り除き、神経へのダメージを最小限に抑える方法(コロノトミー)が採用されることもあります。
まとめ
親知らずと下歯槽管の位置関係は、抜歯の難易度やリスクを左右する重要な要素です。下歯槽管との距離が近い場合には、CTスキャンによる詳細な診断と、適切な治療計画が不可欠です。
患者様の神経や血管を保護しながら安全に抜歯を行うためには、経験豊富な歯科医師や口腔外科医の判断が重要です。不安がある場合は、事前に歯科医師に相談し、十分な説明を受けてから治療を進めるようにしましょう。
当院では、下歯槽管との位置関係から抜歯が困難と判断される場合、患者様の安全を最優先に考え、無理に院内で処置を行わず、より高度な設備を備えた大学病院や口腔外科クリニックへご紹介しております。